引退馬関連

6月に想いを寄せて…

 ←グリーングラスの季節 →仲間がいる光景 ~春風ヒューマの6月~
青草が目に鮮やかな6月は
馬たちにとって、一番穏やかな時間が流れる
季節かもしれません。(アブもまだ少ないし…)

渡辺牧場でも、普段どおりの
平和な日々が続いていますが
この6月は、渡辺牧場にとって
大切な2頭の馬
ウラカワミユキ号(ミユキ様)と
ミユキ様の生涯の友 コーセー号の
大切な時間が流れているような気がします。

●P7110291
2014年夏、33歳のミユキ様  幾つになっても可愛らしさが変らない

RIMG1317☆みゆきさん&コーセイさん
2013年夏  大親友のコーセイさんと

RIMG1315みゆきさん
2013年夏  ミユキ様の若々しさに驚いた時の写真


6月2日―
ミユキ様は34歳の誕生日を迎えました。
数年前、春風ヒューマのことで
久し振りに渡辺牧場を訪れた時
ミユキ様の若々しさには、本当に驚きました。
少女のようにキラキラした瞳と
美しい体のラインに艶々の馬体。
コーセイさんと一緒に、放牧地を走る姿は
私の知る30歳のサラブレッドの概念を
大きく変えてくれました。

P7120410.jpg
2014年夏  凛として美しい立ち姿

20140730_09縮15
2014年夏  春風ヒューマとともに


その昔、初めて谷川牧場を訪問した時
銅像のように動かず、表情一つ変えず
神々しい存在として、そこに佇む
シンザン号を眺めた記憶があります。
牧場の方から伺ったのは
日本競馬界の宝 シンザン号に
「長生きして欲しい」 との想いから
シンザン号を若い頃からお世話していた
誰よりも彼のことを知っている
シンザン号専属の担当者が
それはそれは愛情深く
お世話されていた姿でした。

その当時(現在もあまり変わっていませんが…)
余生を過ごす馬は、特別な存在で
30歳を超える馬をファンが目にすることは
シンザン号以外、考えられないような状況でした。

馬の存在とは、哀しくもそのようなもの―。
歴史に名を残した馬であっても
知らないうちに淘汰されることが
当たり前だった時代。
シンザン号に続いて長寿と言われた
名馬リキエイカン号に捧げられた
北海道新聞の記事。
少し長いですが、感動的だったので
そのまま感謝してお借りします。


  北海道新聞(人に詩あり)より、全文。
  浦河町の鮫川 清一さん(47)

  7月2日、日高管内浦河町の鮫川牧場で、
  1頭の名馬が息を引き取った。
  35歳と2ヶ月27日。
  あの5冠馬シンザンの最長寿記録まで
  14日に迫っていた。
  同牧場社長の鮫川清一さん(47)は
  「リキ』のことを、我が子のように語るのだった。
  「リキ、リキと呼ぶと、寄ってくるんだ。
  背中に痒い所が有ると口をとんがらせてね。
  そりゃ賢い馬だったよ」

  1970年4月29日、8万の観客を集めた
  阪神競馬場での第61回天皇賞。
  リキエイカンが末脚鋭く逃げ切った。
  当時の新聞は『3分25秒6』のレコード勝ち
  だったことや、『鮫川牧場産」であることを
  短い記事で伝えてる。

  鮫川さんは祖父から
  『この血統だけは絶やすな』といわれてた。
  リキの祖先をたどれば
  日本サラブレット界の始祖に行き着く。
  近親からも活躍馬が出ていた。
  そして、牧場の期待どおりに
  リキは天皇賞を制した。
  通算成績は47戦13勝だった。

  だが、リキエイカンは
  その後、数奇な道を歩む。
  種馬となったが、優れた産駆には
  恵まれなかった。
  当時、国内産の種馬が
  冷遇されていた事も災いした。
  忘れもしない80年秋、
  鮫川さんは、ある噂を耳にした。
  『リキがと畜場に連れて行かれる』。
  たとえ天皇賞馬とはいえ、
  経済的価値がなくなれば
  処分される例は当時は、大部分だった。

  リキが居る日高管内の牧場に走った。
  1頭の汚れた馬がいた。
  『血統書で馬の特徴を調べなければ
  分からないくらい変わり果てていた」。
  鮫川さんは十数万円を払い
  リキをつれて帰った。
  丁寧に丁寧に、汚れを落としてやった。
  涙が自然とあふれてきた。
  『情けなくて情けなくて・・・。
  あの時の事を思い出すと、
  今でも涙がでそうになるんだ」
  牧場が生産馬を引退後に引き取る事は
  馬産地では常識外のことだ。 
  馬を養う経費はそう安いものではない。
  えさ代などで最低でも
  年間百万円はかかる。
  種馬は稼がなくなったら、淘汰もやむなし。
  鮫川さんは、馬産地のその常識には
  従わなかった。

  胆振管内の高校を卒業して、
  父の後を継いだ。
  馬がというより、動物が好きだった。
  道端に捨て犬が居ると放ってはいられない。
  今牧場に十一頭の繁殖牝馬のほか
  六匹の犬が居る。

  あの日から20年余り
  1日の始まりと終わりは、リキのために有った。
  前日の夜、どんなに酔っても
  朝の5時にはリキの馬房に行った。
  仕事が終わった後にも必ず馬房に行った。
  「リキ』と声をかけて、世話をする。
  『馬は、見てあげないと、
  なにを求めているか分からないから』
  リキは歯が弱いから
  水に浸下柔らかいえさを
  毎日用意した。
  寝藁も、体に負担かけないよう
  ふかふかの物を準備した。
  専用の小さい放牧地も作った。
  『この馬が出てくれたから
  牧場の今があるんです。
  最大の功労者はリキなんだ。
  これは金の問題じゃないんだ」
  リキは5年程前から目が見えなくなった。
  足も不自由になった。
  それでも、必死で生きようとしていた。
  鮫川さんにはそれが分かる。

  容体が急変したのは7月2日早朝、
  鮫川さんはリキのそばに居た。
  『寝たら起き上がれないのが
  分かっていたんだろうね。
  死ぬ前は横たわる事もしなかった。
  かわいそうで見ていられなかった。
  自分の子供のような者だから」

  リキが死んだ。
  ぽっかりと心の穴があいたような気持ちだ。
  牧場のそばを秋には鮭が遡上する
  元浦川が流れる。夏の太陽が降り注ぐと
  牧草の緑は一段とまぶしくなり
  河音が優しく響く。

  去年の夏と同じ牧場の風景。
  が、リキのことが時々、頭をよぎる。
  『シンザンの記録を抜けなかったのは
  残念だったけど、リキは機械じゃないから・・・。
  リキに聞いてないけど、今ごろ天国で
  『幸せな一生だった』
  と言ってくれると思うんだ」



シンザン号も、リキエイカン号も
生産者の深い愛情に守られて
晩年を幸せに過ごすことが出来ました。
でも、大多数の馬たちは
功績のあった馬でさえも
人知れず姿を消していくのが
この世界の常識。
グリーングラス号も、種馬引退の時には
人の思惑に流された一頭でした。

馬に晩年の時間を与えることは
それ程までに、困難なことでした。
特別な馬(実績を残した馬)だからではなく
ただ、大切にしたい馬だから
僅かな人が、馬のために
困難を乗り越えていた時代。
本当は、馬を愛する誰もが願っていた夢。

でも、今は少しずつ変わり始めています。
渡辺牧場には、夢を実現することのできた
馬たちが何頭も過ごしています。
渡辺牧場さん自身も、昔からの想いを
たくさんの方と分け合いながら実らせています。

私も長年の夢を、春風ヒューマとともに
叶えることが出来ました。

夢は叶えるためにあるもの。
小さな力が集まれば、夢は現実となります。
どうか、この夢が大きく広がりますように―。
私も及ばずながら、お手伝いしたいと
思っています。


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~ Comment ~

無題

読んでいて、涙があふれてきました。
本当に、勝手にあふれてきました。でも泣いてはいません。
馬たちのために、泣いてちゃいられませんね。

小さな力ひとつひとつを、大きな力に!!

御礼

いつも勇気を頂き、感謝しています。
この記事を見つけた時、心を揺さぶられました。
そして、リキエイカン号がどんなに幸せな気持ちで晩年を過ごしたか、伝わってきました。

それにしても―。
グリーングラスの時もそうでしたが、人知れず姿を消していく馬たち。 気が付いた時には、手遅れだったという話を、本当によく聞きます。 
生産者への配慮?なのかもしれませんが、やりきれない気持ちが残ること、きっとあると思います。

ゆっくりとした歩みですが、志を同じくする方たちと、力強く進んでいきたいと思います。

NoTitle

お久しぶりです。

引退馬の現状、対する想い・・・
ストレートに伝わってくる記事を掲載くださって
ありがとうございます。
この記事に触れることが出来て、嬉しく思います。

正直、私は牧場さんにお任せしていること自体、心苦しいのです。
朝から晩まで、ずっとかかりきりで面倒を看ていただいている・・・
本当に大切な存在であれば、自分が引き受けなければいけないのに・・・
その想いは消えません。

あのやんちゃボーズをシロウトの私が世話するのは
非常に難しいことかもしれませんが
奥さまとは時折、そうした夢を語っています。
いつか、少しの時間でも、私が、あいつのすべてを・・・
そのくらい、愛しています。

でも、だからこそ想いだけじゃダメだって・・・そう思います。
リキを大事になさってこられた鮫川さんの記事が
胸に刺さりました。

NoTitle

やんちゃんぷ様

こちらこそ、ご無沙汰してしまい申し訳ありません。
あぁ、やんちゃんぷ様らしい…。ベガ君を本当に大切にされている、
やんちゃんぷ様。実際、やんちゃんぷ様はご自身で馬の気持ちが
解りたいと、勉強されていますものね。

現在のお仕事、奥様(はるみさん)に少しだけ伺いました。
強くて優しくなければ出来ないお仕事。
ずっと深く生と死を見つめ、時の大切さを感じていらっしゃるの
だと思います。
心から愛する者に対して、最期の一瞬まで自分が出来うる最大限
の愛情を捧げ、幸せを感じて過ごして欲しいと願うのは自然なこと。
"近くにいて、愛情を注ぎたい…" それが出来るかというのは現実の
問題ですが、少しずつでも近づこうとしている行動が尊いのだと、
やんちゃんぷ様を見ていて思います。
一足飛びに実現することは、難しいですものね。

夢を叶えるとは、そういうことなのかもしれません。
第一歩は、生きる道を作ること。
次に続く道は、幸せな時間で満たすこと。
誰がどのように…というのは、更にその先の課題でしょうか。
やんちゃんぷ様の見つめる先が、とても深く長いことに感銘します。

牧場の皆様に、(様々な意味で)頼らざる得ない状況に、かすかな
心の痛みを覚えながら、現実を受け入れている今、まだ先のことは
見えていません。
想うだけでなく、実行していかなければ、何も変わらない―。
長いお話になりますね(笑) きっと、お会いしましょう!
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